日本のIT業界では、慢性的な人材不足が続いており、優秀な外国人ITエンジニアの採用に注目が集まっています。しかし、採用にはメリットだけでなく、文化・制度面での課題も伴います。本記事では、外国人ITエンジニアを採用する上でのメリット・デメリット、そして成功のための3つのポイントをわかりやすく解説します。
なぜ今、外国人ITエンジニアの採用が注目されているのか?
経済産業省が2025年5月に公表した推計によると、2040年にはAI・ロボットなどの先端技術を担う人材が最大326万人不足する可能性があるとされています(※出典:経済産業省「2040年の産業構造・就業構造の推計」2025年5月)。このような構造的な人材不足に直面している日本では、国内だけで必要なスキルと人材をまかないきれず、海外からの優秀なエンジニアを積極的に受け入れることが急務となっています。
外国人ITエンジニアを採用するメリット
優秀な人材の確保がしやすい
海外には、非常に高い技術力を持つエンジニアが多数います。日本語の壁があるために他企業と競合しにくい分、採用難易度が低いこともあります。とくにAIやクラウド、モバイルアプリ開発などの分野では、海外人材の方が実務経験を積んでいることも珍しくありません。
多様性によるチームの活性化
異なる文化や思考を持つ人材が加わることで、プロジェクトに新たな視点が生まれ、創造性や課題解決力の向上につながります。多様なバックグラウンドを持つチームは、ユーザー視点の幅も広がりやすく、サービス品質の向上にも貢献します。
グローバル展開の強化
外国人ITエンジニアは、将来的に母国市場への展開や多言語対応などで大きな力を発揮します。現地文化やユーザー行動に精通した人材が社内にいることで、グローバルプロジェクトを社内から推進しやすくなります。
外国人エンジニア採用のデメリット・注意点
言語・文化の壁
報連相などのコミュニケーションの基本が、日本語環境でスムーズに行えないことがあります。また、日本特有の「暗黙の了解」や「察する文化」に馴染むのが難しいこともあり、誤解やストレスの原因となるケースもあります。
ビザや法的手続きの負担
外国籍人材の採用には、在留資格の取得や更新、雇用契約に関する手続きなど、通常の採用とは異なる対応が必要です。初めて採用する企業にとってはこの点が障壁になることがあります。
より良い給与・条件を求めて転職を繰り返す傾向がある
外国人エンジニアの中には、「キャリアアップ」や「年収の向上」を強く意識し、より好条件の企業への転職を繰り返す人もいます。特に初めて日本での職を得た企業は“最初のステップ”と考えられやすく、育成後に離職してしまうケースも見られます。
こうした離職を防ぐためには、昇給や昇進のルールを明確化し、成長に応じて評価される仕組みを整備することが重要です。
採用を成功させる3つのポイント
① 採用前にスキル・コミュニケーション力を正しく評価する
日本語能力試験のレベルだけでは、実際の業務遂行力を測るには不十分なことがあります。技術スキルとあわせて、「職場内での実用日本語力」や「チームとの協調性」を見るために、模擬コードレビューや技術課題を取り入れると効果的です。
② 入社後のオンボーディングを丁寧に行う
日本企業の価値観や働き方、コミュニケーションのルールをしっかり説明することで、早期離職を防げます。特に入社直後の3ヶ月は重要な定着期間。メンター制度や定期的な1on1を導入し、安心して相談できる環境づくりが必要です。
③ キャリアパスと成長機会を明確に示す
「この会社で働き続けた先にどんな成長があるのか」を明確に伝えることは、外国人エンジニアの離職防止に大きく影響します。スキルアップ支援や資格取得支援制度、マネジメント職への昇進ルートなどを整備し、見える形で提示することが求められます。
まとめ|外国人採用は“育成と定着支援”が成功の鍵
外国人ITエンジニアの採用は、企業の競争力強化と人材多様化を実現するための有効な手段です。しかし、採用後の受け入れ体制や育成、キャリア支援までを含めて初めて、真の戦力として活躍してもらうことができます。
Bridgitech Globalでは、外国人IT人材の採用支援から日本語・ITスキル研修、定着支援までを一貫して提供しています。採用に関するお悩みや課題がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。